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坑道の中では必ず医師が脈を取りに来て、容態を訊ねる
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【バド・ガシュタイン9日=小笠原正佳】夏の音楽祭で有名なザルツブルクの南西90km。冬はスキーやスノーボードなどの、夏はハイキングのメッカとしても有名な温泉保養地バド・ガシュタインのラドンの効用を利用したユニークな坑道療法が世界的に注目を集めている。
「ガタン、ゴトン」、ラードハウス山の中腹にある坑道療法施設から水着の上にバスローブを羽織って坑道トロッコに乗ると15分ほどで始点から1880mほど山中にある最初の停車地点に到着する。ここの室温は37度。この先さらに4ヶ所に停車し、最終地点の深さ2500mでは室温が41,5度に達する。湿度は70−100%。停車地には横穴が掘られておりベッドが設置されている。マットレスの上に乗車の際に配られた敷布を敷いて約50分ほど横になるという仕組みで、途中1回医者が脈を取りに回診に来る。どの停車地点で療養するかは医者と相談して決める。
この坑道療法はぎっくり腰、リューマチや肩こり、気管系の病気に効く。効果の秘密は高温・多湿と坑内の空気に含まれるラドン。坑内では通常約半リットルの汗をかくが、体温の上昇が皮膚からと肺からのラドンの吸収をよくするという。ラドンは新陳代謝を活発にし、細胞の再生力を高める効果があるという。体に負担がかかるため、最低一日は間隔を置いて坑道に入る。8−9回で効果が出てくるという。坑道療法一回の料金は約8000円ほど。オーストリアやドイツでは、医者の診断書があれば社会保険で施設利用費を負担できるなど完全に効果が認められている。坑道療法を経営する坑道療養社のケスティンガー社長は、日本の湯治と同じく効果を得るまでには2週間ほどの滞在が必要だが、効き目は必ず得られると自信たっぷりだ。
実はこの坑道、ヒットラーが金脈探しに掘ったものだ。金脈は見つからなかったが、過酷な仕事を強いられた労働者がかえって健康になったところから、戦後坑道に対する研究が始まった。坑内が高温なのは温泉の影響だといわれている。坑道療法施設では、理学療法、各種マッサージも受けられる。坑道療養社の経営は地元のホテル19件、温泉療養会社、銀行、医者組合の共同出資で行われている。
利用者は増える一方で今年は昨年より1500人増加の63000人程が訪れる見込み。特に、評判を聞きつけた外国からの患者の増加が目立つという。オーストラリアや米国からの常連客もできている。バド・ガシュタインへの交通機関はザルツブルクから列車かバス、乗用車でいずれも1時間15分〜30分程度。
バド・ガシュタインでの療養は退屈でない。どのホテルも食事の味を競っているからだ。また、個性豊かなグルメレストランもあり、値段も高くない。野性味のあるブタの丸焼きで評判のベルタホフやマス料理が自慢のグリューナーバウム。上品な洗練されて味を提供するモーザーシュレースルやフィア・ヤーレス・ツァイテンなど数えきれないほど。どのレストランでも嗜好や予算にあったワインを選ぶ事が出来る。療養に来て、太って帰る客も少なくないようだ。
19世紀にはハプスブルク皇帝の保養地として欧州中の貴族を集めたバド・ガシュタインは、坑道療法によって再び国外での知名度を高めている。
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医師とは常に綿密にコンタクトを取り、安全で効果的な療治を目指すシステムになっている
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トロッコ中は二人づつ向かい合って座る座席が二組あり8人車両。坑道の中は会話禁止がルールになっっている
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坑道内部図。最初の停車地点までは直線だがその後はカーブ続きで一周する構造だ |
(2007年4月10日)