【ザルツブルク1日=ペトラ・アンナ・ヴィント】 新演出というと、なんとか話題を喚ぼうという演出の意図が露骨なものが多数ある。そのほとんどが女性の裸体という形で姿を現す。ファルク・リヒター演出の魔弾の射手もその典型で、意味なく裸体が登場し、その上悪魔がローマ法皇のいでたちで登場するなど、宗教の冒涜を犯してまでスキャンダルすなわち話題性を追いかけ印象を与える。
これがイスラム教だったら、リヒターはすでに暗殺されているだろう。素晴らしい音楽的出来栄えを披露した出演者やオーケストラに同情を禁じえない。
炎のスペクタクル、裸体の悪魔の女神官、悪漢カシュパルが哀れなマックスのためにタクシー運転手を演じ、マックスがピンボケ映像になるビデオなど話題を呼ぶためだけの演出に嫌悪感を覚えた観衆は多かった。
出演歌手はマルクス・ブッター(オットカー侯爵)、ローランド・ブラハト(クノ)、ペトラ・マリア・シュニッツァー(アガテ)、アレクサンドラ・クルツァク(エンヒェン)、ペーター・ザイフェルト〈マックス〉、ジョン・レリュア(カシュパル)、ギュンター・グロイスベック(隠者)、イグナツ・キルヒナー(サミエル)などバランスのとれた配役で、それぞれの個性を活かした舞台を披露した。
(2007年9月1日)