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絵画ファン必見。ウィーンの贋作美術館 「フェルシャームゼウム (Faelschermuseum)」

贋作では裏側も大切と説明するグロブ館長

【ウィーン3日=小笠原正佳】 ウィーンの贋作美術館が、美術ファンの注目を集めている。美術史美術館、ベルヴェデーレ、アルベルティナなどのウィーンを代表する美術館所蔵のブリューゲル、デューラー、レンブラント、クリムト、シーレだけでなく、ターナー、モネなど外国作品の贋作展示もあり、絵画市場の現状を垣間見ることにもなる。 説明を聞いて絵画作品の信憑性に対する信頼を失いショックを受ける人や感動する人など見学者の反応は様々だ。建築家のご主人と美術館を設立し、館長を務めるディアネ・ グロブさんは 「現在の絵画市場で取引されている作品の60%は贋作」、インターネットでの取引ではその確率が80%に達する、ダリのエッチングは90%以上だという。グロブさんが贋作に興味を持ったのは、オリジナル画家として自立できない画家たちの屈折した人生に関心を持ったからだ。

一口に贋作といってもいろいろある。最初から、複製であることを明らかにした「コピー」。コピーをオリジナルと偽って売りことを目的とした「贋作」。印象派などの有名画家の作風を真似た「贋作」。有名画家のサインを偽った「贋作」。そして、有名贋作画家のサインを偽った「贋作の贋作」。通常、贋作が絵画市場に出回るときは、「亡くなった祖父母の家の屋根裏から、こんなものができきたのでびっくりした」といって所有者は匿名で画商が仲介して取引されるという。中堅画家の場合、有名贋作画家の偽作品の方が市場価格が上がってしまうこともあるというから、絵画市場はやっかいだ。

ミケランジェロは1490年15歳の時に、修業のために複製を言い渡された作品のオリジナルは手元において、自分の描いたものを返却したが誰も気が付かなかった。絵画の存在に贋作はつきまとうことだろう。ルーブルでエドガー・ムルクラによる贋作が発覚したときには、「ムルクラは黄金の腕の持ち主だ」というコメントを美術館側が発表しただけで、贋作を展示してきたことはうやむやになった。また、ドイツでは教会絵画の贋作に、当時ヨーロッパに存在しなかった七面鳥が描かれていたためアメリカ大陸を発見したのはドイツ人だという議論が噴出したという。

英国の代表的贋作画家トム・キーティングは何層にも描いた作品の中にグリセンリンをまぜて、手入れをすると作品が一瞬のうちに爆発して消滅するようにしたり、下層にらくがきを書き込んで自作であることの証明をしていたという。美術商の間では贋作は公認の商品であるから、美術ファンは油断ができない。原作であることを証明するのも難しいのは事実で、国立美術館のコレクションでも専門家の間での本物、偽物の議論はつきないという。絵画ファンを疑心暗鬼に陥らせる贋作美術館は、人気が高まる一方だ。


レンブラントの有名作の贋作となると、画家が作品の価値とアイデンティティーを示すための秘密のサインが施されている クリムトの代表作ユディットは、評価額5−6千億ユーロといわれるが、コピーは3000ユーロ程度で入手できる 中国で贋作を安く大量生産させ、それが有名贋作画家の作品であるという偽の証明書を添えたものまである
 
ムンク(写真)やゴッホなどは、画風を真似た贋作が多い。とくに、貧困生活を送った画家の作品がどこに眠っているかは追跡不可能だ    


(2008年4月3日)

 

 

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